絵に描いたもち

日々の記録、子育てや通信教育などの覚え書き

出産レポート4 誕生

 助産師さん3人が分娩室の中にいて、すんごいスピードで準備していたのをうっすらとした視界で確認。言われるがままに分娩台に転がる。

レポートで俎上の鯉という表現をよく見かけるけど、まさに鯉。。シートやらカバーやら色々つけられ、靴下を履いたままの足に汚れ防止のビニール製のカバーをつけられながらすごいなあこんなことするんやなあと思う。

助産師さんに「横向いた方が楽?」と聞いてもらうが、もはや苦しみしかなく楽とかよくわからん状態。返事もできないので首を振って意思表示。頭のあたりに夫が到着。

まだ怨霊状態の私は助産師さんの指示を聞くための聴覚しか残っておらず、その他の五感は遮断気味でしたが、夫の声が聞こえたり手をさすったりしてくれるのは辛うじて。

分娩台の上に転がってからも陣痛襲来。助産師さんに、自然に力入っちゃう分にはかまわないよ!と言われたけど、お尻から出していいのかどうかわからず戸惑う😇

とりあえずまだお尻から何か出る感に耐えつつ、んんん〜〜っと何回か叫んだ覚えあり。先生お願いしまーす!という声が聞こえ、「あー先生いないから始まらんかったんか…」と勝手に恨む。
※この先生は糸井重里とは別の日勤シフトの方。

 

このあたりから、お尻から何かでる感を我慢しなくてもよくなったと判断して、助産師さんの声だけを頼りに、言われたことだけ言われたとおりにやりました😇

いろんなものが限界で、ずっと目を閉じてたので聴覚と触覚の情報のみ。自分が股間をだらしなく全開にしてすごい格好をしているのは分かってるのですが、理性がぶっ飛んでいるどころか野性のかたまりで、もはやそんなこと気にもならないw 今から考えるとただの動物に戻っていた気がする…本能フルコンボ

 

「赤ちゃん包んでる膜を破りますねー!」
ぷつっ…と切れる感覚。どばーーっと生温かいものが股から足元に広がる。

(これ出産レポートで見たやつ…)

「力抑えなくていいよーー力入れて入れて入れてーー息吐いてーー吐いてーー頭見えてるよ!でてきてる!」

痛いような気もするけど、麻痺してるのか痛みを超えた何かがビーーッと走っている。「お尻から出てくる感」を抑え込まなくてもよくなったので何も考えず本能のままに猛る。。。もはやケモノ。。

(でる…ででくる…)と頭で認識しつつ、身体は出す出す出すーーー!というスイッチが入っている。

夫がそばで、もちちゃん、赤ちゃんでてきてるよ!と手をさすってくれていた。

 

「休もうか〜〜あと少しだよ〜!赤ちゃんの頭このくらい見えてるからねー!」

はよ出したいーー!!!のに強制的にインターバル。

この一瞬のインターバルでようやくうっすら目を開けて「このくらい」を確認。息をついて足元を見下げるとお医者さんがいたけど、棒立ちだった。。医者はお産に参加せんのかい…立ってるだけなんやな…と認識。

お医者さんにやたらとアタリの強い私ですが、このお医者さん、出産のハイライトを演出してくれることになります。。

ちなみにもうずっと痛みを超えた何かに支配されていて、本能の出す出す信号と助産師さんの「待て」が戦っている。。

「力入れるよーーー!いきんでいきんでーー頭でてきてるよーー」

目をぎゅうっとつぶって最大出力。

ビーーッ !

ここでフォロワーさんのおっしゃってた「一年分のウンコを出すつもりで!」が雷のように降りてきた!!!

この指令が下りた瞬間、笑えるかな思ったけど笑うどころか超真剣にウンコのことを考えておりました。。

私は、んんんーーと野獣のような声をあげつつ、いきんでいきんでーー!と助産師さんの声。

ただ、出してるつもりだけど感覚としては裂けているという感じしかなく(実際裂けてるけど!)出てるのか何なのかまったくわからない!!

今思えば、産道は痛みを越えて麻痺していて、会陰だけが生き残っててその感覚が伝わったのかもしれない…。

「頭出たよ!肩も出すよ!!」

出産レポートにある「途中で赤ちゃんが止まってしまう」事態は避けられたんだなと安心。

「力抜いてーー赤ちゃんでるよーー入れちゃだめ!力入れない!赤ちゃん出てこれないからね!」

助産師さんの指示が代わり、ぬく?!?!と混乱。出し続けていて、今もまだ出したい感覚が残っているのに、ぬく?!

でもぬかないと赤ちゃん出てこれない!ぬかないと!でもぬけない!!抜き方がわからん!もはやコントロールがきかなくなっています…😇

「力抜いてよ〜〜旦那さん手握ってあげましょうかね〜」

まったく自覚はなかったけど、いきむために分娩台をしっかり掴んでいたようです…これ以上いきまないように、その手を夫が分娩台から剥がして、愛情を込めてぎゅうーっと握ってくれました。。

が、私、その手を振り払う😇😇はっきり覚えています…心がいきみたがってるんだ…

野性全開の興奮、極限状態。いきませろや!!!もう無理!!と思ったとき、新たな声が。

「下見て〜!」

ーー下?助産師さんじゃない…誰や?!と思わず目を見開いて声の方向を見たら、(立ってるだけの)医者!!!

えっ…?!とこの瞬間に脱力。

医者仕事したーー!と私の理性がツッコみましたね…(失礼

脱力できたおかげで下からは赤ちゃんがつるーーんと出ていたみたいで、無事に、ほんにゃ〜〜ほんにゃ〜〜と大きな声が分娩室中に反響していました。

安産のコツとして、いきむ時は両足を外に踏ん張って、目をしっかり開けておへそを見る。声は出さない。そんなことを主治医の先生に聞いていたのをいまさら思い出しました。

足元にいたお医者さんを見ることで、赤ちゃんが出てきやすい状態になったんだろうなと思います。

 

声を聞いて、あ…出たんだな…と漠然と状況を認識。

ありとあらゆるところの力が抜けきって、生まれた……と茫然自失でした。

たぶん、「おめでとうございます!」とかいろんな言葉を助産師さんたちがかけてくれてたような気がしますが、記憶がおぼろげです…😇😇

唯一「…51分!」と時間が読み上げられたのは覚えていますが、何時なのかは後で聞くまでまったく想像もできませんでした…

実はこのとき、まだ12時台。。

「早ければ日の落ちる頃」と言われていたのに、喋れないレベルの陣痛を迎えてから数時間でのリリース…まさかの真っ昼間でした。

 

緩みきった身体と脳で、痛みから解放された…と安堵。漫画やドラマでよくある「おめでとうございます」を聞いてニッコリする妊婦、あれはウソ!!!(個人の感想です)

リリース直後は表情筋も限界超えてるので笑顔とか作れないから!にこーってなるよりへろーんぼやーんって感じだから!

 

そしてこれが不思議なんですけど、赤ちゃんが生まれてからの方が記憶が薄いです。

お産の最中、陣痛があった割にいろいろ覚えているので、身体だけじゃなく頭も極限で、生まれてこの方使ったことのないレベルで脳がフル回転してたんじゃなかろうか。

赤ちゃんリリースのあと、「胎盤出しますねー」という声が聞こえて、お腹をぐーっと押されたような。

この間に、赤ちゃんを取り上げてくれた助産師さんが体重や身長を測ったりして、いろいろと状態を教えてくれました。

しかし「3200gありますよー!」と聞いた時には、夫婦ふたりで「…?!」となりました。。

健診でずっと小さめ小さめと言われるし、予定日超過してるのに2700キープと聞いていて、標準値内だけど下方値ギリギリだし…何かリスクが?と心配しまくったのに〜〜500もデカいやないか😇

小さめと言われて心配してる妊婦さんには、こういう例もあると知っていただきたい…

 

この間に、足元では「自然に裂けてるところがあるので麻酔して縫いますねー。麻酔の針痛いですよ〜」と例のお医者さんの声が。

麻酔あるんやよかった…と思いながら、されるがまま身を任せていました。

「裂けた部分も少ないし、出血も300くらいで済んでますよ〜」と助産師さんの声。

300…それが多いのか少ないのかまったく検討がつかないけど、とりあえず自然に裂けたんだな…少なくてよかった…とぼんやりと思う。

話しかけられても返事ができないのが申し訳なかったけど、夫や助産師さんの声に応えるだけのエネルギーがなかった…

割とすぐ「バースプランにはカンガルーケア(早期母子接触)ありで書いてたと思うんですけど、カンガルーケアされますか?」と助産師さんに再確認してもらい、「お願いします」とそこだけはなんとか声を出しました。

胸元のボタンがサーっと開けられ、全開の胸元に赤ちゃんがぺったりと置かれました。

お乳ぽろーんだし乳首黒いしで、急に乙女心が復活して夫の視線が気になったけど、トイレ介護されてるし何を隠そう羊水やら胎盤やら出てくるの見てるのに胸で恥ずかしいのおかしいよな…と冷静なのか何なのかよく分からない思考が働く😇

体温下がるので、と帽子をかぶせられた赤ちゃんは、くしゃくしゃーっとした顔でしわだらけだし、赤いし、どう考えてもかわいくないのにかわいいーーーー😇😇😇

吐くわかわいくて吐くわ😇😇

「落ちちゃうのでしっかり手を添えてくださいねー」と言われ、赤ちゃんが胸の上に到着。

何枚ものタオルで包まれた温かい我が子を胸の上に抱き、けなげに肌に頬を寄せるその小さいもののようすを見て、自然にかお微笑む力が戻ってきました。

うまくできているもので、カンガルーケアをしながら会陰のぬいぬいが進んでいくので、糸がチクチクと動いている感覚はあるけど、我が子をじーっと見てるのであまり気にならなりませんでした。

最後に糸をプッツンと切るところも、かすかに衝撃が皮膚へ伝わってはきましたが、目の前に我が子がいるのでそっちに集中しておりました。

胸の中の赤ちゃんを覗き込んで、夫も私も「可愛いねえ〜〜」としか言葉が出ない。貧しいボキャブラリーがいっそう貧困に😂

「時間経っちゃったので、お昼ご飯下げちゃいますね〜また旦那さんに美味しいもの買ってきてもらってくださいね」と助産師さんに声をかけてもらう。うん、お昼ご飯を食べる余裕なんてあるはずなかったよね…

 

カンガルーケアをしながら2時間過ごしているうちに、会話をする気力体力が戻り、経過に問題もないので個室へ帰れることに。13時前に出産し、15時前になっていたはず。赤ちゃんは一晩新生児室でのお預かりなので、夫だけ先に部屋へ帰ってもらいました。

分娩室に残った私は助産師さんに体を拭いてもらい、着替え、また車椅子で部屋へ戻りました。頭も身体もふわーっとするものの、貧血症状もなく、和やかにお産を終えました。明け方から怒涛のように押し寄せた出産劇は無事に閉幕です。。

 

蛇足な補足、出産レポート5へ続きます。